私は私のままで生きることにした|読書感想文【BTSジョングク愛読書】

多くの共感とBTSのジョングクが愛読書として話題になり、韓国60万部を超えるベストセラーとなったライトエッセイ。韓国の若者たちが抱える「他人の目」「将来への不安」、そして「自分らしさ」への悩みに対し、いまの自分でいいのだと背中を押してくれる本。

人と比べて何になる?”私”を大切にするためのエール

どんな本?60万部を超える大ヒット作

私は私のままで生きることにした
キム スヒョン(著)、吉川 南(訳)

私たちはみんな、ヒーローになること、特別な何者かになることを夢見ていた。だけど今では、世界どころか自分を救うことに必死な大人になってしまった。

中途半端な年齢、中途半端な経歴、中途半端な実力をもつ、中途半端な大人になった私たちは、誰もが大人のふりをしながら生きている。

本書には、今を生きる普通の人へのいたわりと応援を詰め込んだ。何が正解なのかわからない世の中で、誰のまねもせず、誰もうらやまず、自分を認めて愛する方法を伝えたい。

私は私のままで生きることにした / キム スヒョン(著)、吉川 南(訳)

自分のことがみじめで無力に思えたと語る作者が、何がそうさせたのか、その疑問に対する答えを、読者の心にエールを届けたいという思いで書き上げたライトエッセイ。韓国で大ヒットとなり、日本で発売されるのにそう時間はかからなかった。

  • 韓国で60万部を超えるヒット
  • 日本で発売から3カ月で18万部突破

多くの人に支持される理由は、みじめな気持ちになる原因を歴史や社会的背景に触れつつ、かといって深刻にならず冷静に心と向き合っているからかもしれない。落ち着いた語り口調なのに心にぎゅっと入ってくるメッセージは日々自分をないがしろにする私たちの心をそっと抱きしめてくれる。

韓国語タイトルは、

「나는 나로 살기로 했다」

BTSのジョングクが愛読書として紹介?

人気にさらに火をつけたのは、BTS(バンタンソニョンダン)のジョングクだった。VLIVE『ボンボヤージュ〜シーズン3』でジョングクの部屋でこの本が写り、「グクの愛読書?」「読んでみたい!」と話題に。日本のアーミー(ファンの総称)が読んでくれていると作者もSNSで触れるほど。

btsジョングク愛読書の本
グクの足元に。アーミー特定班すごい!笑

作者のキム・スヒョンさんがインタビューでこのことについて触れていた。

ファンの方が、インスタグラムで本をタグ付けしてくれたり、私にダイレクトメッセージを送ってくださることもあって、日本と韓国は、似たような情緒、考え方を持っているのだなあと、あらためて感じたんです。
本が多くの方に読まれたことで、私自身、日本に対する関心がどんどん大きくなっていきました。

ワニブックアウト- キム・スヒョンさんのインタビューより

作者が日本への関心が大きくなったとあるように、私も、そして日本の読者も韓国への関心を持つ内容だった。

もちろん、アイドルが紹介したという一時的な人気ではない。内容に共感した人の口コミ、本屋さんがおすすめする本、そして目を引くデザインすべてが人気の秘密だ。

作者のキム・スヒョンさんについて

この本の魅力は、作者キム・スヒョンさんの言葉から伝わる人柄だ。もしスヒョンさんが「夢を持って生きていこうよ!」と現実ばなれしたメッセージを書いていたら、ここまで韓国で大きな反響はなかったかもしれない。(ストレートな熱い言葉も好きだけど、この本の魅力は地に足ついた言葉だと思う)

プロフィール

キム・スヒョン(김수현)
イラストレーター・作家。

本書の韓国語版を発売当時(2016年)20代後半だったとあるのでおそらく30代前後(そんなことどうだっていい)。「まじめだけど深刻ぶらない、明るいけど軽くはない人」。韓国では本書のほか、3冊の著作がある。

イラストレーターとしても活動し、表紙のイラストも自身が手がけている。インスタグラムにはおしゃれなイラストの投稿がずらり!

印象に残ったメッセージを少しだけ

テンポの良い語り口調が心地よく、読み終わった後には仲のいいお姉さんに相談したかのような、それでいて自分とゆっくり話せたような気もするから不思議。たくさん心に残ったけど、特に印象深かった言葉を少しだけ紹介。

自分からみじめになってはいけない

作者がインスタグラムを始めて、きらびやかな他人の投稿をみて自分がみじめに思えたという話。

『自分をみじめにする方法』という本によれば、
他人の生活をのぞき見て自分の生活と比べることが、
自分をみじめにする、いちばん簡単な方法だという。

私は私のままで生きることにした / キム スヒョン(著)、吉川 南(訳)

この一文を読んだ時ハッとした。すごく身近でリアルな例だったから。インスタグラムで華やかな写真たちは綺麗なはずなのに、時々違和感を感じてしまう。それはきっとその人が他人にマウンティングしているからではなく(それも少しはあるかも?)、根本には自分がその写真の主の生活と自分を比べて”みじめ”になっていたからなんだ。嫉妬しているんだ。

他の人の暮らしをのぞく、その好奇心の代償が”みじめさ”だなんて悲しい。嫉妬してしまう自分に情けなくなる日もある。学生の頃は「あのモデルさんのように生まれたかった。」なんて毎日言っていた。いまはもう諦めたけど(笑)

自分が幸せであることを人に証明しながら生きることは、最も不幸な生き方

私は私のままで生きることにした / キム スヒョン(著)、吉川 南(訳)

自分の価値や幸せは、他人からの評価を削ぎ落としたときに残らないものなのか?そうではないはず。人に幸せそうと思ってもらうことが幸せになってない?そうじゃないと思う。

http://ha-neul.net/wp-content/uploads/2019/08/animal_usagi.png
ハヌル

自分が幸せだと感じることを大切にすることが人生の豊かにする。

自信につながった留学という選択

その”みじめさ”を減らすきっかけに、わたしは留学があったと思う。少し前まで本気で「あの子はたくさんブランドバッグを持っていていいな。」なんて思っていた(今思えば未熟で恥ずかしい)。同じ年数働いているのに大企業に勤めた子達と自分には大きな価値の差があるように感じていた。

でも留学を決心してから他人と比べる回数が減った。単純に準備で忙しくてSNSを見るきっかけが減ったのかもしれない。でももう1つ理由があるなら、勇気を出したことで少し自信がついた(自分の持っているもの=価値に気づいた)からだと思う。私は友達と並ぶためのブランドバッグより、自分の本当の欲求だった留学を選んだ。不安でたくさん悩んだからこそ、その選択をした自分を好きになれたんだと思う。

お金があったらもちろん、どちらも選んでいたけれど(素敵なバッグに罪はない!)。

http://ha-neul.net/wp-content/uploads/2019/08/animal_usagi.png
ハヌル

みじめになったり、他人と比べてしまう自分も”私”。でも大事なのは、自分の価値に目を向けること!

自分らしい人生って?どんな選択をするのかが人生を決定する

「自分らしく生きていくための to do list」という章での言葉。

いつ、どんな選択をするのかが、私たちの人生を決定する。

ところが、まわりを見ると、選択を避けようとする人たちがいる。
慎重であることと、自分で決められないこととは、
まったく別の問題だ。

私は私のままで生きることにした / キム スヒョン(著)、吉川 南(訳)

ここを読んだ時に、中学時代の友達が浮かんだ。協調性が高く、すべてに対して「どちらでもいい。」という。そして与えられた選択に全てYESで答える。そして周りは「いい子」だと褒めてその子はまた自分の意見を飲み込むようになっていった。

それから数年たって、その子はこう言っていた。

「実は人の顔をうかがって言いたいことが言えないことが悩みなんだ。」

そしてどこの学校へいくか、どんな仕事につくかも自分で決められなかったと。人間関係にも失敗するのが怖いのだと言っていた。わたしは昔、”いい子ちゃん”なその子を少しずるいと思っていた。選択する失敗から逃げて、人に決断させるなんてと思っている節があった。でもその子は自信がなかったんだなとその時に気づいた記憶がある。

自分で自分の人生をコントロールできるという自己信頼感は、
絶対に失敗しないと信じるときではなく、
自分なりに最もいいと考える決定を下し、
それがどんな結果につながっても、
その結果に責任をもつときに得られる。

私は私のままで生きることにした / キム スヒョン(著)、吉川 南(訳)
http://ha-neul.net/wp-content/uploads/2019/08/animal_usagi.png
ハヌル

自分を信頼できる、自分になりたい。

まとめ

読書感想文のあとがき

韓国の学歴社会、大企業主義は日本と似たものがあり、人と比べてみじめになったり、自分の頑張りが足りないのでは?という焦りや不安を感じる人も多い。

わたしは今も感じることがよくある。他人との比較はなにも思春期だけじゃない。むしろ大人になるにつれ違いが大きくなり、複雑でやっかいなものになる。

でも他の人を羨ましがるのではなく、自分の持っている価値に気づく大切さ、そして自分を尊重して生きることの大切さをこの本は教えてくれた。

また、留学中に感じた韓国の社会への疑問点(高校生が夜12時まで学校で勉強している、家族の結びつきが濃いなど)に関することもこの作品を通して少し理解することができた気がした。

読み終わった後、ぼーっと自分と会話したくなる、そして自分を大切にしたいと温かい気持ちになれる一冊だった。

http://ha-neul.net/wp-content/uploads/2019/08/animal_usagi.png
ハヌル

読書感想文は学生時代を思い出して「です・ます」じゃなく「である調」にしてみました(笑)

おまけ:訳者についての感想

句読点が多く、ゆっくり語られているように頭の中で再生されて、こういう時にいつも翻訳家の方はすごいなと感じます。わたしは本のあとがきを読むことも好きです。日本の文化や社会をふまえた意見を書いてくださっていることが多く、作者の言葉とはまた違った魅力があるから。実はそこでBTSのジョングクの愛読書ということを知りました(笑)

読みやすくて、おしゃれなイラストも楽しめます!
(私は旅行中に、紫の表紙とイラストがかわいくて韓国語版をパケ買いしたのがきっかけでした!)

ぜひ読んでみてください。

私は私のままで生きることにした
キム スヒョン(著)、吉川 南(訳)

1 COMMENT

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です